ひとり旅そして孤独についての考察@ナミブ砂漠

ぼくは、よく一人で旅に出る。一人で旅に出ると言うと、周りの人は「寂しくないの?」と心配してくれる。でも、一人でいることは寂しいことなのだろうか。
どうやら、人は孤独を避けるべきものと考えている。孤独から逃れるように、人は誰かと一緒にいることを強く求める。

 

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しかし、誰かと一緒にいれば孤独から解放されるのだろうか?
きっとそうではない。なぜなら、孤独を感じるのは、人が自分自身を受け入れられていないからである。自分自身との居心地の悪さ。これが孤独の正体である。誰かと一緒にいれば、束の間は自分自身と対峙しなくてよい。でも、これを永遠に続けることはできない。人は、自分自身を騙し続けることはできないから。

 

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思想家のハンナ・アーレントは、孤独(solitude)と、孤絶(isolation)と、孤立(loneliness)を区別していた。
孤独とは、人が内なる自己と対話をしている状態。
孤絶とは、人が何かの作業(仕事)に没頭している状態。
孤立とは、人が自己との対話をできず、またそうした対話を行える友も持たない状態。

 

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多くの人が考える孤独とは、アーレントの言う孤立に近いのではないだろうか。孤立は辛く苦しい。それは、まったく自分自身からも友からも疎外された状態だからである。
自分自身と向き合うことができるなら、そして、その中で内的対話を楽しむことができるなら、孤独は決して寂しいものではない。

 

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普段の生活では、孤絶という状態で仕事に没頭することはあっても、生産性という観点から、孤独の中で自己との対話に没頭する自由はあまり認められていない。
一人旅では、全ての時間が自分に属し、生産性という呪縛から逃れた自由さがある。孤独でいられることは、贅沢なことと言えるのではないだろうか。

@ナミブ砂漠