島宿真里の醤油懐石 〜醤の郷を訪ねて〜

小豆島は約400年の歴史を持つ醤油の一大産地です。最盛期の明治時代には400軒ほどの醤油醸造所がありましたが、現在は20軒ほどに減っています。しかし、多くの醸造所が安定して大量生産できるステンレス等のタンクを使うようになっている中、ここ小豆島では伝統的な木桶仕込みの醤油を作っている蔵が多く残っています。日本の醤油全体で、木桶仕込みのものは1%以下にまで減っていますが、その1%の中の3割程度が小豆島で生産されています。

 

f:id:enyacaribbeanblue:20200429142629j:plain

 

醤の郷と呼ばれる地域には醤油醸造所が軒を連ねており、歩いているとあちこちから醤油の香りが漂ってきます。またこの地域では、醸造所の壁や屋根、さらにガードレールや看板などが黒くなっていますが、これは蔵に住みついた醤油を作り出す菌の影響だそうです。ここ醤の郷では、あちこちに醤油の菌が漂う醸しワールドになっています。

 

この醤の郷にある「島宿真里」では、醤油の食べ比べができる醤油会席を提供しています。二段仕込みの濃厚な醤油や、生揚げと呼ばれる火入れをしていない醤油(殺菌処理されていないので市販はできない)を蔵元から取り寄せています。さらに、オリーブと少量の出汁とともに炊き上げたオリーブご飯には食べる直前に小豆島産のエキストラ・バージン・オリーブオイルを掛けていただきます。他にも醤油の諸味(大豆や小麦を発酵させて醤油を絞る前の状態)を様々な調味料として使用し、小豆島・瀬戸内の食材と合わせています。まさに、ここでしか食べられない料理に仕上げられていて、島の魅力を伝えたいというオーナーの心意気が伝わってくる素晴らしい宿でした。

 

f:id:enyacaribbeanblue:20200429142742j:plain

4種類の醤油の食べ比べ

f:id:enyacaribbeanblue:20200429142819j:plain

オリーブと一緒の炊き込んだオリーブご飯。仕上げに小豆島産のエキストラ・バージン・オリーブオイルをかけて食べます。

f:id:enyacaribbeanblue:20200429142932j:plain

各種のフルーツを漬け込んだリキュール

f:id:enyacaribbeanblue:20200429143028j:plain

イサム・ノグチの照明が素敵な湯上りスペース

f:id:enyacaribbeanblue:20200429143240j:plain

部屋に付いている半露天風呂