好みのコーヒーの見つけ方 〜発酵方法による味の違い〜

今日のコーヒー
Today's coffee

 

国名: ブラジル(Brazil)
地域: モジアナ地区(Mojiana)
品種: カトゥアイ(Catuai)
精製: ナチュラル(Natural)

 

コーヒーを飲むときに豆の原産国(ケニアやコロンビアなど)で選ぶことが多いと思いますが、品種精製方法で選ぶことはまだまだ少ないでしょう。しかし、自分の好みのコーヒーを見つける上で、原産国は参考にはなりますが、風味を特定するには十分ではありません。
例えば美味しいお米を食べたいと思ったとき、「日本米」という情報しかなかったとしたら、それが美味しいお米かどうか判断できないでしょう。ササニシキなのかコシヒカリなのかといった品種や、白米なのか玄米なのかといった精製に関する情報があって初めて味の予測が立つというものです。

 

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品種も重要な要素になります。しかし、同じ品種であっても植える場所の土壌や気候、標高などによってかなり風味に違いが出てきます。いわゆるテロワールというやつです。品種とテロワールの組み合わせは多様で、それだけコーヒーの風味にも多様な可能性をもたらします。

 

一方、精製というのは上手・下手はあるものの、やり方はほぼ固定されています。そして、それぞれの精製方法によって、どういう風味を引き出すかという方向性もかなり明確です。
精製は大きく分けると3種類あります。

ナチュラル:   コーヒーの実を収穫後に果肉を付けた状態で乾燥させる。
パルプド・ナチュラル:   外皮と果肉を取り除き乾燥させる。
ウォッシュド:   外皮と果肉を取り除き、水槽に入れて発酵させることで果肉を完全に取り除いた後に乾燥させる。

 

ウォッシュドは大量の水を必要とするため場所を選ぶし費用も掛かります。しかし、果肉を完全に取り除くことで、コーヒー豆をカビや腐敗から守るとともに、抽出した時にとてもクリアな風味を生み出します。それに対し、ナチュラルは最もシンプルな精製方法で最も古くから行われてきました。しかし果肉がついたままでムラなく乾燥させるまでには手間も掛かるし、カビや腐敗が生じやすくなります。それでも、果肉を付けた状態で乾燥させることで、コーヒー豆にフルーツのような甘みやコクを与えることができ、強いアフターテイストを感じられる一杯になります。お茶でいうなら、まるで玉露のような風味になります。

 

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丁寧にナチュラル精製されたコーヒーは他の方法で精製されたコーヒーとはかなり風味が異なり、コーヒーの概念を覆すかもしれません。近年はスペシャリティコーヒーの世界においてナチュラルが見直されてきています。しかし、ナチュラル精製は生産者の注意と手間を必要としリスクが高いことから、一部のコーヒー関係者はナチュラル精製を広めることで品質の良い豆を台無しにするリスクを高めると警鐘を鳴らしてもいます。

 

精製は品種と違って、コーヒーに一定の風味の方向性をもたらすと述べましたが、それも生産者次第ということになります。例え品種や精製に関する情報がわかっても、なおそのコーヒー豆がどのような生産者によって作られたかで風味は大きく変わります。
だからこそ、コーヒー選びは難しいですが、探し出す大きな楽しみがあるとも言えます。

 

実際にコーヒー豆を買うときにコーヒー農家から直接買う人はほとんどいないでしょう。信頼できるショップから購入するというのが現実的な方法になると思いますが、それでも消費者として品種や精製に関する知識を持っていることは、自分の好みのコーヒーに出会う大きな助けになるはずです。